Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate

Aozora Bunko

「ここは間道のまた間道です」

と、茂助はいった。

「もすこし楽に越えられる所もありますが、それへ出ると、槻谷の砦だの、赤川洞の番所だのという、幾ヵ所もある見張へひッかかりますからね」

そう聞いて、藤吉郎は、さっき山絵図を示した時、茂助が、それを見つめたまま、容易に承知の返辞をしなかった彼の用意の程がわかった。

「まだ童くさいところもあるが、浅からぬ心支度のあるやつ」

と、藤吉郎は、心のうちで、なお、茂助に愛を増した。

一瓢の水は、みな十名の者の汗になってしまった。夜もやがて明け近いのではないかと思われる頃、茂助も大汗を拭いて、

「こう疲れきっていては、戦もできないでしょう。ここで一寝入りなされてはどうですか」

と、計った。

藤吉郎は、

「寝るもよいが――」

と、頷きながら、一体、ここはどの辺か、城の搦手までは、まだ余程あるのかと訊くと、

「つい、そこの下です」

と、茂助は、真下の谷を指さした。

「えッ。そこか」

驚いて、一同が気色立つと、茂助は手を振って制した。

「もう大きな声も出してはいけません。ひょっと風の方角では城内へ聞えます」

「…………」

藤吉郎は、そこの谷間へのぞむ岩角まで這っていった。