Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate

Aozora Bunko

心に苦労がある人ともみえない。どこまでも温和でにこやかな人品だった。

「いや、お恥かしい」

謙遜でなく、光秀は真から顔を紅らめた。なぜならば、藤孝が歌道に達していることは、都はおろか地方にまで聞えているくらいだからである。

その日は。

和歌のはなしから始まって、国学に及び、文学を語り、飛鳥、奈良朝あたりの仏教美術から近頃わけて流行の茶事を評し、一転して、笛、蹴鞠のこと、また食味や旅のはなしなどにまでくだけて、夜に入るも知らなかったが、やがて燈を見ると、

「いや初めてのお訪ねとも覚えず、ついはなしの面白さに」

と、長居を詫びて帰ってしまった。

光秀は、その後でも、

「……はてな?」

燭を見つめて、独り考えこんでいた。

それからも、藤孝は、二、三度遊びに立ち寄った。

――が、いつも話題は、連歌の評やら、茶事の閑談から出なかった。

ところが、或る日。――それは小雨のそぼ降る日で、武家やしきの奥まった室は、昼間も灯の欲しいほどうす暗く、そして湿やかな折だったが、いつになく、藤孝はきっと改まって、

「時に。きょうは、折入って、其許のお胸を叩いてみたいことがあるが……。