Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate
正月なので、仕事場には誰もいなかったし、近所の者も気づかなかった。市松は、顔いろを変えて橋の袂へもどって来た。
足軽はもういなかった。
方々、探し歩いていると、村の居酒屋からひょっこり出て来た。市松は、後ろから駈けて行って、
「この足めッ」
と、足軽の脛を、鉈で撲りつけた。
足軽は、わッと、ちんばをひいて、蹌けて行った。
「ざまア見ろ」
市松は逃げ出しながら、
「ばかッ。ひょッとこ。意気地なし。冷飯くい」
出放題に罵った。
足軽は、火の如く怒って、この餓鬼めがと、追いかけたが、脛の痛みに、脆くも躓いてまた倒れた。
市松は、戻って来て、
「覚えたか。思い知ったか」
と、足軽の頭へ、幾つも鉈をふり下ろして、塩辛のようにしてしまった。
当然、事件になった。
足軽の主人という武士が、桶大工の新左衛門の家へ、何度となく強談に来て、
「小伜を渡せ」
と、いう。
渡したら子は殺されるかもしれないと思うので、新左衛門夫婦は、百方、人を頼んで、ようやく、
「出家させる」
と、いう条件で、生命だけは、事なきを得た。けれど市松は、
「坊さんになるくらいなら死んじまう」
と、わいわい泣く。