Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.903 caratteri · 400 schermate
「ばッ、ばかなまねを」
罵ってみたが、追いつかない。いかに敵の虚を衝くにせよ、総体で二十六、七人の小勢で、むらがる敵の中へ入ってどうする気だ。命知らずにもほどがあると、呆れかえるよりは腹が立ってしまったのである。
とはいえ、虎之助ひとりを見殺しにして、逃げ帰ることもできない。美濃部十郎は、舌打鳴らしながら、
「飛びこめ。こうなったら、存分暴れて帰るしかない」
手下にいって、無二無三、塀へ取りついた。人の性根というものは、こういうとき、遺憾なく出るものである。十郎はその手下へ、飛びこめ、と命令しながら、また終りに、帰ることをいっている。
同じ侍でも、伊賀、甲賀の者には、行ったきり、死んだきり、という信条はないことになっている。いかなる辱をしのんでも艱苦しても、生きて還って来ることが、使命の完うになる役儀だからである。
「美濃部十郎ッ。二番乗り」
彼が、忌々しげに、大声で呼ばわったとき、それを奪うように、彼方の塀の上でも、
「城乗り二番! 加藤虎之助家来。飯田覚兵衛ッ」
と同時に名乗って、城中へ躍りこんだ者があった。
この搦手には、城方の一将、松田九郎兵衛の手勢が守っていた。