Classici giapponesi con furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Leggi 新美南吉童話集 (あかいろうそく) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.131 caratteri · 96 schermate
春のことでいっぱいたたえた水が、月の下で銀盤のようにけぶり光っていた。池の岸にははんの木や柳が、水の中をのぞくようなかっこうで立っていた。
巳之助は人気のないここを選んで来た。
さて巳之助はどうするというのだろう。
巳之助はランプに火をともした。一つともしては、それを池のふちの木の枝に吊した。小さいのも大きいのも、とりまぜて、木にいっぱい吊した。一本の木で吊しきれないと、そのとなりの木に吊した。こうしてとうとうみんなのランプを三本の木に吊した。
風のない夜で、ランプは一つ一つがしずかにまじろがず、燃え、あたりは昼のように明かるくなった。あかりをしたって寄って来た魚が、水の中にきらりきらりとナイフのように光った。
「わしの、しょうばいのやめ方はこれだ」
と巳之助は一人でいった。しかし立去りかねて、ながいあいだ両手を垂れたままランプの鈴なりになった木を見つめていた。
ランプ、ランプ、なつかしいランプ。ながの年月なじんで来たランプ。
「わしの、しょうばいのやめ方はこれだ」
それから巳之助は池のこちら側の往還に来た。まだランプは、向こう側の岸の上にみなともっていた。