Classici giapponesi con furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Leggi 新美南吉童話集 (あかいろうそく) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.131 caratteri · 96 schermate
「一人じゃ行けんしなあ」と木之助が思案しながらいうと、松次郎が風呂から出て、「うん。俺も子供の時分から旧正月といえば、門附けにいっとったで、今更やめたかないが、女房めがああいうし、実は、こないだ子供めが火箸で鼓を叩いているうち破ってしまっただよ。行くとなりゃ、あれも張りかえなきゃならぬしな」といった。
木之助は仕方がないので一人でゆくことにきめた。自分の身についた芸を、松次郎のように生かそうとしないことは木之助には解らなかった。何故そんなことが平気で出来るのか考えて見ても解らなかった。いかにも年々門附けはすたれて来ている。しかし木之助の奏でる胡弓を、松次郎のたたく鼓を、その合奏を愛している人々が全部なくなったわけではないのだ。尠くとも(と木之助はあの金持の味噌屋の主人のことを思った)、あの人は胡弓の音がどんなものかを知っている。
翌朝木之助は早朝に起き、使いなれた胡弓を持って家を出た。道や枯草、藁積などには白く霜が降り、金色にさしてくる太陽の光が、よい一日を約束していたが、二十年も正月といえば欠かさず一緒に出かけた松次郎が、もうついてはいないことは一抹の寂しさを木之助の心に曳いた。