Classici giapponesi con furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Leggi 新美南吉童話集 (あかいろうそく) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.131 caratteri · 96 schermate
だよ。人が馬鹿だというよ」といった。
「こけでもこけずきでもええだ。聴いてくれる人が一人でもこの娑婆にあるうちは、俺あ胡弓はやめられんよ」
しばらくみんな黙っていた。竹藪でどさっと雪が落ちた。
「お父つあんも気の毒な人だよ」と女房がしんみりいった。
「もうちっと早くうまれて来るとよかっただ、お父つあん。そうすりゃ世間の人はみんな聴いてくれただよ。今じゃラジオちゅうもんがあるから駄目さ」
木之助は話しているうちに段々あきらめていった。本当に女房や娘のいう通りだろう。世間が聴いてくれなくなった胡弓を弾きに雪の道を町まで行くなどはこけの骨頂だろう。それでまた感冒にでもなって、女房たちにこの上の苦労をかけることになったらどんなにつまらないだろう。眠りにつく前、木之助はもう、明日町へゆくことをすっかり諦めていた。
夜が明けて旧正月がやって来たが、木之助にとってはそれは奇妙な正月だった。三十年来正月といえば胡弓を抱えて町へ行った。去年と一昨年はいかなかったが、父親の死と、木之助の病気というものが余儀なくさせたのである。ところがこんどはこれという理由もないのだ。第一今日一日何をしたらいいのだろう。