Classici giapponesi con furigana
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あかいろうそく
新美南吉童話集
Leggi 新美南吉童話集 (あかいろうそく) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.131 caratteri · 96 schermate
門をくぐってゆくと、あの大きい天水桶はなくなっていた。そして天水桶のあったあたりには、木之助の嫌いな、オート三輪がとめてあった。
「ごめんやす」とほっぽこ頭巾をぬいで木之助は土間にはいった。
奥の方で、誰か来たよといっているのが静けさの中をつつぬけて来た。やがて誰かが立ってこちらへ来る気配がした。木之助はちょっと身繕いした。だが衝立の蔭から、始めて見る若い美しい女の人が出て来て、そこに片手をついてこごんだときはまた面くらった。
「あのう」といって木之助は黙った。言葉がつづかなかった。それから一つ咳をして「ご隠居は今日はお留守でごぜえますか。毎年ごひいきに預っています胡弓弾きが参りましたと仰有って下せえまし」といった。
女の人が引っ込んでいって、低声で何か囁きあっているのが、心臓の高鳴りはじめた木之助の神経を刺戟した。やがてまた足音がして、こんどは頭をぴかぴかの時分けにし、黒い太い縁の眼鏡をかけた若主人が現われた。
「ああ、また来ましたね」と木之助を見て若主人はいった。「君、知らなかったのかね、親父は昨年の夏なくなったんだよ」
「へっ」といって木之助はしばらく口がふさがらなかった。