Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.447 caratteri · 76 schermate

Aozora Bunko

三月八日

青木堂ではあんなにもさがして居たロリアがあるのに、二十七銭でやすいと云うためか、さんざん、ありませんありませんと云った。妙なものだと思う。作楽館へ行っておまちする。誰も居ない部屋で、少し風の吹く外を見ながら居たら、何だか少し妙な心持がした。先生に対して、越してはならない圏限をフトのり越えたような。種々おはなしする。研究の方は、私の都合のいいときにして下さるとおっしゃる。有難い。いつもおちついて被居っしゃる。かなりまで燃焼して行く相手の心を、失望させない程度に落着かせてやる態度は偉い。

三月八日(木曜)

午後から長谷川先生のところへ行く。又しばらくお目にかからないからと、花を持って行く。あの先生が、余り花に冷淡なのが少し妙に思われる位だったら、瓦斯ストーブでじきわるくなるからなのだそうだ。紅茶とブレッドンバターを下さる。パンが丁度いいかげんにかわいて居て美味しかった。小此木先生の結婚の話が出た。先生は少し私にとっては不愉快な、話し振りをなすった。少し羨み、少しまけおしみ、少しあなどりの混じた複雑な表情――かくそうとする努力で、かなりまで却って露骨にオールドメイドの欠点のあらわれた話しぶりをなすった。