Classici giapponesi con furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.447 caratteri · 76 schermate
三月三十一日
人間が蟻のように見えるところから見下すと、すべては小ぢんまりと静かに綺麗だ。あったかい日にてらされて、人気のない山の上に座って居ると、すべてが単純化されて来る。苦しみのないらくらくとした心持がひろがって来て、レオナルド・ダ・ヴィンチがあの山の上にのって、ついに成功しない自分の飛行器について無量の感慨に打たれたのも、ほんとうにそうだろうと思われる。手の届きそうな向うの山までのこんなに小っぽけな景色をみると、私もバッサ、バッサと勇ましい羽音を立てて飛び出したくなる。
三月三十一日(土曜)
昨夜少し喉の工合が悪かったので大変用心をする。午前中は風がひどかったので、どこにも行くまいと思って居たら、午後少し風がしずまったので、ずっと、館の山の反対の山へ行く。道は面白いのだが、誰も居ない村の中の一本道なので、フト木こりなどに合うと女性の本能的な恐怖が自分をつかむ。それ丈女には先天的の弱みがあるとも思う。かあさまから手紙が来る。父様が、三日ごろに来るとおっしゃっていたが、思いがけなかったので大変にうれしい。あしたの昼から、岡村さんへつれて行ってくれるように、おいくにたのんで来る。