Classici giapponesi con furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Leggi 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.787 caratteri · 177 schermate
卑弥呼は裸体を巻き変えた新しい衣の一端で、童男の捧げた指先を払いながら部屋の中を見廻した。
「王よ。この部屋をわれに与えよ。われは此処に停まろう。」
彼女は静に反耶の傍へ近寄った。そうして、背に廻ろうとする衣の二つの端を王に示しながら、彼の胸へ身を寄せかけて微笑を投げた。
「王よ、われは耶馬台の衣を好む。爾はわれのために爾の与えた衣を結べ。」
反耶は卑弥呼を見詰めながら、その衣の端を手にとった。悦びに声を潜めた彼の顔は、髯の中で彼女の衣の射る絹の光を受けて薄紅に栄えていた。部屋の中で訶和郎の死体が反絵の腕を辷って倒れる音がした。反絵の指は垂下った両手の先で、頭を擡げる十疋の蚕のように動き出すと、彼の身体は胸毛に荒々しい呼吸を示しながら次第に卑弥呼の方へ傾いていった。
反耶は衣を結んだ両手を後から卑弥呼の肩へ廻そうとした。と、彼女は急に妖艶な微笑を両頬に揺るがしながら、彼の腕の中から身を翻して踊り出した。そうして、今や卑弥呼を目がけて飛びかかろうとしている反絵の方へ馳け寄ると、彼の剛い首へ両手を巻いた。
「ああ、爾は我のために我の夫を撃ちとめた。我を我の好む耶馬台の宮にとどめしめた者は爾である。