Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.540 caratteri · 319 schermate
弥三郎は少し慌てたような風で、急いでここを立ち去ろうとするのを、半七は小声で呼び止めた。
「へえ。なんぞ御用で……」と、弥三郎は何だかおどおどしながら立ち停まった。
「少しお前さんに訊きたいことがある。まあ、ここへ来ておくんなさい」
半七は彼を師匠の墓の前へ連れ戻して、二人は草の上にしゃがんだ。けさは薄く陰っているので、まだ乾かない草の露が二人の草履のうらにひやびやと沁みた。
「おまえさん御奇特に毎月この墓へお詣りに来なさるそうですね」と、半七は先ず何げなしに云った。
「へえ、若い師匠のところへはちっとばかり稽古に行ったもんですから」と、弥三郎は丁寧に答えた。彼はきのうの朝以来、半七の身分を大抵察しているらしかった。
「そこで、くどいことは云わねえ、手短かに話を片付けるが、おまえさんは死んだ若い師匠とどうかしていたんだろうね」
弥三郎の顔色は変った。かれは黙って俯向いて、膝の下の青い葉をむしっていた。
「ねえ、正直に云って貰おうじゃねえか。おまえさんが若い師匠とどうかしていた。ところが、師匠はあんな惨めな死に様をした。丁度その一周忌に大師匠が又こんなことになった。