Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.831 caratteri · 396 schermate
自分の顔を見られぬ用心であろう。その曲者は奉納の鬼の面をかぶっていた。まだ其の上にも用心して、彼は手拭を頬かむりにして其の頭を包んでいたが、それが坊主頭であるらしいことは、兼松らに早くも覚られた。
曲者は面の箱をひき寄せて、なにか一心にさぐっているらしい。その隙をみて、二人は不意に飛びかかると、彼はもろくも其の場に捻じ伏せられた。手拭を取られ、鬼の面を剥がれて、その正体をあらわした彼は、二十五、六歳の青白い僧であった。
「この坊主め、生けッぷてえ奴だ」と、兼松は先ず叱りつけた。「内心如夜叉どころか、夜叉神の面をかぶって悪事を働きやがる。貴様は一体どこの納所坊主だ。素直に云え」
普通の出家の姿であったならば、なんとか云い訳もあったかも知れないが、頬かむりをして、鬼の面をかぶっていたのでは、どうにも弁解の法がない。彼も一も二もなく恐れ入ってしまった。
彼はこの近所の万隆寺の役僧教重であった。諸仏開帳の例として、開帳中は数十人の僧侶が、日々参列して読経鉦鼓を勤めなければならない。しかも本寺から多勢の僧侶を送って来ることは、道中の経費その他に多額の物入りを要するので、本寺の僧はその一部に過ぎず、他は近所の同派の寺々から臨時に雇い入れることになっている。