Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.831 caratteri · 396 schermate
それがもとで、お勝は自害したそうです」
「自害したのか」と、吉五郎も少しく驚いた。
「短刀だか懐剣だか知らねえが、なにしろ寝床の上に起き直って、喉を突いたんだと云うことです」と、云いかけて留吉は声を低めた。「それからまだおかしいことは、黒沼のとなりの瓜生という家では、お北という娘が家出をしたそうです」
「幸之助が家出をする。女房になる筈のお勝という女が自害する。又その隣りの娘が家出をする。それからそれへと悪くごたつくな。それで、その女たちは、なぜ自害したのか、なぜ家出をしたのか。その訳はわからねえのか」
「なにぶん武家の組屋敷のなかで出来た騒動だから、くわしい事はとても判らねえ。これだけのことを探り出すのでも容易じゃあありませんでしたよ」
「そうだろうな」と、吉五郎もうなずいた。「そう聞いちゃあ猶さら打っちゃっては置かれねえ。御苦労だが、もう一度行ってくれ」
ふたりが神田を出る頃には、ようやく長くなったという此の頃の日も暮れていた。しかも夕方から俄かに陰って、雨を含んだようななま暖かい南風が吹き出した。
「忌な晩ですな」
「忌な空だな。降られるかも知れねえ」
暗い空を仰ぎながら、ふたりは音羽の方角へ急いでゆくと、途中から風はいよいよ強くなった。