Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate
夕飯のときおもんはこう云った。
「――ずいぶんだましたんだけれど、しまいにはああちゃんああちゃんって追ってきかないのよ、頼まれがいもなくって済まなかったわ」
「なんでもないのよ、そばにくっついてばかりいたから……」
無表情にこう答えたまま、おせんは黙って箸を動かしていた。いつもと人が違ったようである。顔色も悪いし眼が異様に光っていた。食事のあともとぼんとして、おもんが注意するまで月見の飾りも忘れていた。
「あんたどこか悪いんじゃなくって、おせんちゃん、それともなにか厭なことでもあったの」
「どうして、――あたしなんでもないわよ」
そう云って振返る眼が、おもんを見るのではなくずっと遠いところをみつめるような眼つきだった。あんまりおかしいので、寝るときもういちど訊いてみた、するとおせんは眉をしかめながら突っ放すようにこう云った。
「お願いだから黙っててよ、それでなくっても頭がくちゃくちゃなんだから」
そして夜中に幾たびも寝言を云った。
明くる日、朝の食事が終るとすぐ、あと片付けもせずにおせんは出ていった。石のように硬い顔つきで、幸太郎を負って、――帰ったのはうす暗くなってからだった。