Classici giapponesi con furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate
幸太が乱暴な声でどなった、「……親も死んでしまったのに、そんな小さな子をおまえがどうするんだ、死なしてやるのが慈悲じゃないか」
「みんなおんなじよ」おせんはかたく赤子を抱きしめた、「……あたしだってもうながいことないわ、助けようというんじゃないの、こうして抱いて、いっしょに死んであげるんだわ、一人で死なすのは可哀そうだもの」
「おまえは助ける、おれが助けてみせる、おせんちゃん、おまえだけはおれが死なしあしないよ」彼はそう云って、刺子半纏の上から水を掛けると、おせんのそばへ跼んで彼女の眼を覗いた。「……おまえにあ、ずいぶん厭な思いをさせたな、済まなかった。堪忍して呉んなおせんちゃん」
「なに云うの幸さん、今になってそんなことを」
「いや云わせて呉んな、おれはおまえが欲しかった、おまえを女房に欲しかったんだ、おまえなしには、生きている張合もないほど、おれはおせんちゃんが欲しかったんだ」
苦痛にひき歪んだ声つきと眸子のつりあがったような烈しい眼の色に、おせんはわれ知らずうしろへ身をずらせた。
「思いはじめたのは十七の夏からだ、それから五年、おれはどんなに苦しい日を送ったか知れない、おまえはおれを好いては呉れない、それがわかるんだ、でも逢いにゆかずにはいられなかった。