Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

陸戦の士官の持つような頑丈な軍刀に片手を支え、酒盃に伸びた手の指が何か不自然なほど長かった。

「村上兵曹か」

私は敬礼をした。

「ここは、当直は辛いぞ。下士官だからといって、夜の当直を抜けることは、俺が絶対に許さん。他の基地のことは知らん。此処は少くとも第一線だ。毎日グラマンが飛んで来る。どうせ此処で、皆死ぬんだ。死ぬまで、人から嗤われたり後指をさされたりするようなことをするな」

老人のようにしゃがれた声であった。

「判っております」

「俺は、俺はな、吉良兵曹長」

投げつけるような口調でそう鋭く言ったと思うと、執拗なまで私の顔にそそいでいた視線をふいと外らし、再び私の方を見ようともしなかった。私のことをすっかり忘れ果てた様子で、視線をじっと中空に据え、長い指で盃を唇にはこんだ。

「帰ります」

敬礼をし、私は兵隊に導かれ、私に定められた寝台のところに行った。衣嚢を寝台の下に押込み、湿った服を脱いだ。山の下から、微かに巡検ラッパの音が流れて来る。寝台は二段になっていて、二階の方に、下手糞な字で、村上兵曹、と書いた新しい木札がかけてあった。梯子を登り、私は毛布の上に横たわった。