Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
酔っぱらいが酒場で醜態を見せると同じことだ。その点ではズルフォナールは酒よりも強く作用する。やっとネクタイが結べて、彼は脱出した。
「いや。まだ醒めていないんだ」
五郎は丹尾に答えた。
「しかし不安や緊張は幾分解けたようだ。飛行機に乗る時、気分がへんになりやしないかと思ったんだが、別にその徴候はなかったね」
飛行中はぼんやりした無為しかなかった。潤滑油が洩れ始めた時も、不安も驚愕もなかった。この旅客機に乗っている目的は自分にも判っているつもりだったが、それが墜ちるとか炎上するという実感は全然なかった。
「へんな病院ですね」
丹尾がいった。
「そんな療法、聞いたことがない。どこの病院です?」
「もうここらが知覧です」
運転手がぽつんと言った。
「葉煙草の産地でね、昔は陸軍特攻隊の基地でした」
それきり会話が跡絶えて、車内はしんとなった。丹尾は洋酒の小瓶をポケットから出して、残りを一息にあおった。窓ガラスをあけて、道端にぽいと放る。ちらと見た丹尾の掌は異常に赤かった。
「ぼくは昔、戦時中に知覧に来たことがある」
レインコートの袖で口を拭きながら、丹尾は誰にともなくいった。