Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

新八は首を振った。ねっとりとした、火のように熱いものが、唇を押え、耳たぶに触れ、また唇を痛いほど吸った。新八はようやく眼ざめ、殆んど恐怖におそわれながら、その腕をつかみ、身をよじった。相手は手と足とで絡みつき、押え、のしかかって緊めつけた。ぬめぬめとした火のように熱いものが、頬に頸に吸いつき、肩に歯を立て、そうしてあらあらしい喘ぎで彼を包んだ。

「いやです」と新八は手を払った、「よして下さい、いやです」

新八ははね起きた。相手は「痛い」といった。行燈が消えていて、部屋の中はまっ暗であった。

「ひどいのね」と闇のなかでおみやが云った。新八は坐ったまま、うしろへしさった。すると、背中が壁につかえた。

「ひどい新さん、あんまりよ」とおみやが云った。

新八は立って、手さぐりで襖をあけた。彼は外へ出ようと思った。

「新さん、どうするの」とおみやの立つけはいがした、「どうするのよ、新さん」

「ちょっと、――」と新八が吃った。その声はみじめにふるえていた。彼は三帖のほうへ出た。

「待って、待ってよ」おみやが追って来た、「堪忍して、あたしが悪かったわ、あやまるから堪忍して、ね、新さん、もうなんにもしないから、堪忍してちょうだい」