Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
綱宗は云った、「だからずっと慎しんでいたんだぞ、それを大学は飲めと云った、いまは家督も済み伊達家のあるじである、もう誰に遠慮もないのだから飲めと――だからおれは飲んだ」
綱宗ははつ女に手を伸ばした。はつ女は大きな盃を取って渡し、侍女が、なみなみとその盃に酌をした。綱宗はひと息に呷り、そして云った。
「おれは飲んだ、大学はみごとだと褒めた、おれは大盃を重ねた、大学はますます褒めたし、誰ひとりとめる者はなかった、これを十左が知っているか」
「そのあとで」と甲斐が云った、「十左は奥山どのを責めた筈でございます」
「甲斐ならどうする」と綱宗が云った、「甲斐もやはり大学を叱るか」
甲斐は黙っていた。
「十左にはわからない、誰にもわからないかもしれない、しかし、その席に一ノ関がいて、大学の隣りに坐っていたと聞けば、少なくとも甲斐には事情がわかる筈だ」
綱宗はまた酒を注がせて飲み、侍女たちに手を振って「なぜ船岡に酌をしないか」と云い、そして、片手を膝に突いて肩を張った。
「大学は単純な癇癪もちにすぎない」と綱宗は云った。「あいつはいかのぼり(紙凧)だ、自分の意志ではなく、操つる者の糸によってどうにでも動かされる、現にいまでは、浜屋敷で酒をすすめたのは茂庭周防だと、しきりに悪声を放っているそうではないか」