Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
坂本は二人に会った。
二人は密談があるようによそおい隙をみて坂本に襲いかかった。坂本は抜きあわせるひまもなく、その場で即死した。二人は坂本の家人に、「上意討である」と云って、たち去った。
同じ夜、同じ時刻。
やはり浜屋敷の内にある、渡辺九郎左衛門の住居に、二人の訪問者があった。渡辺も浪人から取立てられた者で、疋田流の槍の名手であり、刀法にも非凡な腕があった。食禄は二百四十石、家中の士に槍術を教えていた。
渡辺は会うのを拒んだ。
訪問したのは渡辺金兵衛と渡辺七兵衛といい、二人とも小人頭であるが、どちらも親しいつきあいはないし、そんな時刻に訪問されるような、用件があるとも思えなかった。
「いや、急用があるのです」二人は取次の者に云った。
「こんど御門札を新らしくするので、印鑑をいただきたいのです、明朝から新らしい御門札になるので、ぜひとも今夜のうちに印鑑をいただかなければならないのです」
まえの日に、藩主が幕府から逼塞を命ぜられて、品川の下屋敷へ移った。しぜん門札の更新ということもあり得るので、渡辺は二人に会うことにした。
常着の上へ袴をはき、脇差だけ差し、印鑑の入った鹿皮の小さな袋を持って、渡辺九郎左衛門は客間へ出ていった。