Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
と新八は心のなかで思った。夕餉が済むと、又五郎が「ちょっとでかけましょう」と云った。新八は彼を見た、「柿崎さんのところです」と又五郎が云った。
新八は着替えをした。着物も帯も袴も、みなおみやが新調して呉れたものである。又五郎は娘に向かって、戸じまりと火のもと、母の世話などを注意した。「今夜は帰れないかもしれない」そういって、新八といっしょに出た。
隣りの前をとおるとき、お久米が障子をあけて、こちらを見ているのが、新八の眼の隅にはいった。彼が一人なら、呼びとめようとしたらしい、路地を出てゆきながら、新八はおみやとのひめごとを思いだしていた。
二人は半刻ちかく歩いた。新八には、浅草御門をぬけたことだけはわかったが、それからさきは、どの町をどう曲ったのか見当がつかなかった。
――駿河台のほうへ来ているのかな。
そんなことを思っていると、裏通りの新らしい家の前で、又五郎が此処ですと云った。門柱に「菅流柿崎道場」という看板が掛けてあった。新八はあっけにとられた。
――柿崎さんの道場。
妹にあんな賤しい稼ぎをさせておいて、自分はこんな立派な道場を持つとは、なんという人だろうと新八は思った。