Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 148.519 caratteri · 296 schermate
と久馬の声が云った。このひとがそこで立ち聞きをしていたから捉まえたんです。いいえ嘘です、と若い娘の声が叫んだ。あたし立ち聞きなんかしません、跼んだのは足袋の紐をむすんでいたんです。静かになさい、静かに、とおくみの云うのが聞えた。それらの声は低くなり、廊下の向うへ去っていった。
「――やるな」と甲斐が云った。
周防は甲斐を見た。甲斐はまるめた紙を、塵籠へ入れて云った、「うまく仕組んだ、おれたちを此処からさそい出すつもりだったろう、この部屋の客が誰だかわからなかったのだ」
「するといまのは」
「小間使のうらと久馬、馴れあいだ」
周防は低く息をついた。
二人はそれまでの話しをもういちどたしかめあい、やがて周防は立ちあがった。甲斐は周防の支度を眺めて、「それでは寒かろう、待ってくれ」と云った。
「いまくび巻を出させよう」
甲斐はおくみを呼んで、羅紗のくび巻を持って来させた。周防は頭巾をした上からそれを巻き、合羽をはおりながら訊いた。
「船岡へはいつ立たれる」
「米谷が出て来たからいつでも立てるが、酒井侯のことがあるので、もうしばらくいようと思う」
「年を越すことになるか」