Classici giapponesi con furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate
「ああいうわけですから、決して御心配は要りません。どんな秘密でも、貴方御自身が仰らない限りはこの事務所から洩れるという御掛念は絶対にないのです」
探偵の眼の示したその額の中の条文は「医師、薬剤師、産婆、弁護士、弁護人、公証人、探偵、またはこれらの職に在りし者、故なくその業務上取り扱いたることに付き知得せる人の秘密を漏洩したる時は、二年以下の懲役または三万ペセタ以下の罰金に処す」と刑法第百七十八条が、抜き書きされているのであった。しかもそれを眺めながらもまだ躊躇っている私を見ると、この世慣れた探偵はもうそれ以上、私のために余計な口数は弄さなかった。その代り黙って立ち上ると、机の上から部厚なノートを一冊抜いて来て、それに要点を書き留めるべく、視線を私の顔からそのノートの方へ移してしまった。そして、探偵と真正面に視線を触れ合わせずに、ペンを握ったその指先だけに眼を留めているということが、どんなに私の心をしてこの言いにくいことをも、スラスラと口の端に転び出させ得たことであろうか。
ポツリポツリと私は、ドローレスとの結婚以来の顛末を、そして悲哀を買ったことからその悲哀に端を発して妻の機嫌を害ねたこと、今夕以前の、召使の園丁が来てこれこれしかじかの話を持ち出したということまでを、残る隈なくこの探偵に打ち明けたのであっ