Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate

Aozora Bunko

そうしてもう一つ、文明と制度の完備を誇っている現在の国家の法律や秩序というものが、犬商ベナビデスのごとき世にも恐るべき人間性の破壊者、道徳律の蹂躙者、大自然への冒涜者に対しては、何らの制裁権をも持たぬいかに無力な存在であるかということを、声を大にして叫ぼうとしたに外ならぬからなのだ。そしてさらにもう一つ、こういう世にも幻怪な運命の犠牲者となった私を目して、殺戮者、嗜虐性色情狂と罵るならば、誰か世に殺戮者、嗜虐性色情狂たらざる人間ありやと、呼ばわらんがために、この一文を草して静かに電気椅子の上に坐る日のくるのを待とうとするからなのだ。

嘘も飾りも言わぬ。曳かれ者の小唄と罵らば罵れ! 白昼の幻覚者と笑わば笑え! 私は以上のような目的と確信とをもって、この手記を認める。おそらく、活字になってこの手記が公表せられた時分には、最早私はこの世に生きてはいないだろう。とっくの昔に高圧八百五十ヴォルトの電流を通されて、黒焦げになった屍体は梔子の花散るウベニア丘の墓地に、妻と並んで墓標の下に眠っていることであろう。

縁あって、苔むした墓側を通り過ぎる者あらば想え! 世にはかくも幻妖なる人生を送って、狂わんばかりの憤りと嫉妬と愛と憎悪との相剋に堪えやらずして、かくも奇怪至極なる殺人鬼となり果てし一人の敗残者、今は永遠の休息