Classici giapponesi con furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate
「電気を点けたまえ!」
「階段の下になっているから」
「では……先へ降りて点けたまえ!」
そして私はその梯子を二、三段降りたところで、拳銃を構えていた。陰湿な臭気が一層プウンと鼻を衝いてくる。地下室というよりはまったくの窖であった。パッと地下から光が射してくる。右側も左側も三段四段に重ねられて、ここもまた店と同じく夥しい犬の古檻であった。空の檻もあれば犬のはいっている檻もある。
「なぜ手を降ろすんだね! ベナビデス君! よくこの拳銃を見たまえ、消音になっているよ! いいかね、弾が飛び出して君が倒れても、音を聞いて君を助けに来るものなぞは一人もおりはせぬよ!」
両側に檻の重ねられたその通路の中央を突き当り、街路に面したと覚しい窓際には、脚のガタガタの安卓子が据えられてなるほどモネス探偵の言ったとおり、その上には顕微鏡や薬瓶、試験管、フラスコなぞが雑然と載っていた。
「犬はどこにいるんだね?」
「そ……そこにいる……そことそこに……」
たださえ薄暗い電灯の光が、檻の中までは射し込んでいなかった。ハッキリとは見えなかったが、いずれもその犬らしい恰好をしていた。一匹は丸くなってよく眠っていたが、もう一匹の方は起ち上って不安そうにクンクン檻の中を嗅ぎ廻っていた。