Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate

Aozora Bunko

もちろん記憶に些かの混濁もなく、昨夜どういう風にベナビデスの店を出てどこでタクシーを拾って、どういう道筋をここまで帰って来たかということも――ベナビデスの店の表戸の閉め加減から、乗って来た自動車の運転手の額の皺までアリアリと覚えているのであったが、ただ一つ心残りでならなかったのは、あんなにアッサリと殺してしまわずに、もっともっと拳銃の照準を付けたり外したり、外したり狙ったりしてベナビデスの冷汗を存分に流させた挙句、脚部に撃ち込んだり腕に発射したり、もっともっと長い時間をかけて七転八倒の苦しみを味わわせながら、嬲り殺しにしたかったということなのであった。

しかしあの場合ベナビデスが夢中になって大声を出しているのに、そんな悠長な真似をしていて、開いていた表戸からもし人でもはいって来たならば、かえってアブハチ取らずに終ったであろうと考え直して、わずかに自分の執った処置に、慰めと満足とを覚えていたのであった。その朝寝起きの私の脳裏に泛み上ってきたのはわずかにそれだけであって、後悔とか悔恨とかいった気持なぞは鵜の毛で突いたほどにも感じてはこなかったのであった。