Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いんじゅうトリステサ

橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.788 caratteri · 299 schermate

Aozora Bunko

「では旦那様、奥様のお部屋のお鍵をここへお載せしてまいりますから」と鍵束を私の机の上に置いた。

「明朝は必ず八時までに帰ってまいりますから」

「ああいいとも……いいとも」

邸の中は一刻増しに森閑と鳴りを潜めてきたが、最後に給仕頭がはいって来た時は、これも見慣れた仕着せを脱いでよそ行きの小粋な背広姿であった。

「旦那様……全部仰せのとおりに致しました。みんな喜んでまいりましたが、門番夫婦はいかが致しましょうか?」

「どうもこれだけは門の開閉をするのだから出て行かれては困るな、金だけをやっておいてもらおうか」

門番夫婦はいずれも耳の遠い老人の夫婦であった。おまけに植込みを隔てて遠く離れた正門脇の小舎に住んでいるのであったから、この二人だけはいたからとて何の妨げにもならぬのであった。

「畏まりました。では私もお言葉に甘えまして明朝八時までには必ず帰ってまいりますが、そういたしますると奥様お帰りまではお邸の中は、旦那様お一人ということになりますから、もしまた裏門の方からでも誰かまいりますとお困りでございましょう。台所口、裏門の方は全部私鍵をかけておきましてございますが、それでよろしゅうございましたでしょうか?」