Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
大沢は、恭一がいつまでたっても返事をしないので、今度は次郎の方を向いて言った。
「どうだい、次郎君、進むか、退くか、今度は君にきめてもらおう。」
次郎は、今から二里の路を引きかえすのは大変だ、という気がした。それに、大沢の言った「進むか、退くか」という言葉が、いやに強く彼の耳に響いた。また、一軒家ぐらいは、もう間もなく見つかりそうだ、という気休めも手伝って、
「進みます。」
と、彼は元気よく立ちあがり、真先にあるき出した。
「多数決だ。」
大沢は恭一を見て微笑した。すると恭一も淋しく微笑をかえして、うなずいた。
「これからが、いよいよ無計画の計画だよ。」
歩き出すと間もなく、大沢がそう言って大きく笑ったが、恭一も次郎もそれには返事をしなかった。
それから十五六分も歩いたが、人家はむろんのこと、人一人にも出逢わなかった。そして、水音は白い泡だけを残して、しだいに闇をくぐりはじめた。路と川との間に、ところどころ杉木立があったが、その陰をとおると、大きな羽根をもった魔物にでも襲われているような気持だった。
「方角はどうなっているんだろう。」
恭一は心細そうにたずねた。