Classici giapponesi con furigana
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しのふちより
死の淵より
高見 順
Leggi 死の淵より (しのふちより) di 高見 順 (たかみじゅん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.084 caratteri · 38 schermate
ことがない
死んだおやじとおれは遂にこの世で会わずじまいだった
そんなおれだからガンをうえつけたやつがおれに分らないのも当然か
きっと誰かおれの敵の仕業にちがいない
最大の敵だ その敵は誰だ
おれは一生の間おれ自身をおれの敵としてきた
おれはおれにとってもっとも憎むべき敵であり
もっとも戦うに値する敵であり
常に攻撃しつづけていたい敵であり
いくらやっつけてもやっつけきれない敵であった
倒しても倒しても刃向ってくる敵でもあった
その最大の敵がおれに最後の復讐をこころみるべく
おれにガンをうえつけたのか
おれがおれを敵として攻撃しつづけたのは
敵としてのおれがおれにとって一番攻撃しやすい敵だったからだ
どんな敵よりも攻撃するのに便利な敵だった
おれにはもっともいじめやすい敵であった
手ごたえがありしかも弱い敵だった
弱いくせに決して降参しない敵だった
どんなに打ちのめしても立ち直ってくるのはおれの敵がおれ自身だったからだ
チェーホフにとって彼の血が彼の敵だったように
アントン・チェーホフの内部に流れている祖先の農奴の血を彼は呪った
鞭でいくらぶちのめされても反抗する