Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate

Aozora Bunko

ちょっと見ると一面に黄色い心持ちがする。御母さんがあまり可愛がり過ぎて表へ遊びに出さないせいだと、出入りの女髪結が評した事がある。御母さんは束髪の流行る今の世に、昔風の髷を四日目四日目にきっと結う女で、自分の子を喜いちゃん喜いちゃんと、いつでも、ちゃん付にして呼んでいる。このお母さんの上に、また切下の御祖母さんがいて、その御祖母さんがまた喜いちゃん喜いちゃんと呼んでいる。喜いちゃん御琴の御稽古に行く時間ですよ。喜いちゃんむやみに表へ出て、そこいらの子供と遊んではいけませんなどと云っている。

喜いちゃんは、これがために滅多に表へ出て遊んだ事がない。もっとも近所はあまり上等でない。前に塩煎餅屋がある。その隣に瓦師がある。少し先へ行くと下駄の歯入と、鋳かけ錠前直しがある。ところが喜いちゃんの家は銀行の御役人である。塀のなかに松が植えてある。冬になると植木屋が来て狭い庭に枯松葉を一面に敷いて行く。

喜いちゃんは仕方がないから、学校から帰って、退屈になると、裏へ出て遊んでいる。裏は御母さんや、御祖母さんが張物をする所である。よしが洗濯をする所である。暮になると向鉢巻の男が臼を担いで来て、餅を搗く所である。