Classici giapponesi con furigana
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ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
Leggi 湯島詣 (ゆしまもうで) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.004 caratteri · 122 schermate
」
「ふふ、」と泣出しそうにしながら、蝶吉は無理に片頬で微笑む。
「やっぱり母様の夢ばかり見てるのか。」
「ええ、」ともいわず蝶吉は面を背けると、御所車の簾の青い裏に、燃立つような緋縮緬を、手に搦んで、引出して、目を拭って、
「何にも言わないで下さいな、胸が一杯になって来てよ、可笑しいねえ、」といって袖口を除けたが、ぱっちりと目をいて、梓を見まいとするかのごとく、あらぬ方を瞶めたけれども、
「おやおや、可けないねえ。」
また俯向いて目を塞いで、
「貴方、手を放して下さいな、」
声も消入るようであった。
梓はともかくも蝶吉の心の落着いているのが知れて、いうままに手を放したが、ほとんど失心しているような女の体は、そのまま背後へ倒れるだろうと思った。
蝶吉は、かえって、ちゃんとして、膝に両手を組みながら、恍惚して梓の顔を見ていたが、細い声で、
「あなた、」
「どうしたの、」
「後生だから顔を見ないで下さいな。」
梓は思わず面を背けた、火鉢の火は消えかかって籠洋燈の光も暗い、と見ると痩せた薄と、悄れた女郎花と、桔梗とが咲乱れて、黒雲空に、月は傾いて照らさんとも見えず、あわれに描いた秋草の二枚折の屏風が立っているのが、薄暗い灯で、幻のようで、もの寂しい。