Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Leggi 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.666 caratteri · 114 schermate

Aozora Bunko

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わたくしは炎暑の時節いかに渇する時と雖、氷を入れた淡水の外冷いものは一切口にしない。冷水も成るべく之を避け夏も冬と変りなく熱い茶か珈琲を飲む。アイスクリームの如きは帰朝以来今日まで一度も口にした事がないので、若し銀座を歩く人の中で銀座のアイスクリームを知らない人があるとしたなら、それは恐らくわたくし一人のみであろう。翁がわたくしを万茶亭に案内したのもまたこれが為であった。

銀座通のカフエーで夏になって熱い茶と珈琲とをつくる店は殆ど無い。西洋料理店の中でも熱い珈琲をつくらない店さえある。紅茶と珈琲とはその味の半は香気に在るので、若し氷で冷却すれば香気は全く消失せてしまう。然るに現代の東京人は冷却して香気のないものでなければ之を口にしない。わたくしの如き旧弊人にはこれが甚だ奇風に思われる。この奇風は大正の初にはまだ一般には行きわたっていなかった。

紅茶も珈琲も共に洋人の持ち来ったもので、洋人は今日と雖その冷却せられたものを飲まない。これを以て見れば紅茶珈琲の本来の特性は暖きにあるや明である。今之を邦俗に従って冷却するのは本来の特性を破損するもので、それはあたかも外国の小説演劇を邦語に訳す時土地人物の名を邦化するものと相似ている。