Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
ふしぎに生絹は、「ひとりしていかにせましと侘びつればそよとも前の荻ぞこたふる。」の歌のしらべが、笛の音いろにあらわれていて、その人がこのようなしらべに乗せたのであろうかとも思うた。ことに、
ひとりしていかにせましと侘びつれば、……の、静かな吹きはじまりのひと時は、生絹の心を確りととらえて行った。津の国を吹く風の音いろが薄の穂がしらをしずかにゆすっては、迥かにすぎてゆくような遠い思いであった。とらえがたいものが物の精神になって見えて来た。
「そんなに君を悲しませるようなら外の曲を吹こう。」
笛吹く人は哀れに唏きいる生絹のために、笛を唇から放した。
「いえ、その曲をいつまでも聞いていとうございます。」
月明は笛吹く人の友だちのように訪れ、笛の冴えは道ゆく人の足をとどめるほど、遠いところまでひびいて行った。津の国にまでこの音いろがとどいたなら、右馬の頭のところが分るだろうにと思うくらいだった。
「その人いかなる人にや、仔細あらずば言いも聞かせ。」
笛吹く人はついにこういって生絹の答えを待った。
「それはただの男の方にすぎません。なりわいさえもできないような男でございます。