Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
「卑怯。」
経之の声が切れたときに、もう一個あった火打石の片方が、うしろを見せて素早く立ち去ろうとした定明の逃足に向って打ち当てられた。
「た……」
という変な声を立てると、定明は急にしゃがむように、その五体を径のうえに崩して行った。
経之は去った。彼はたかが女一匹とふたたび心で叫んで見たが、それはもはや虚しい痩我慢にすぎない言葉だった。女は経之を嫌っているというあれほどたしかな言葉があろうか、母がゆるしているのに、女はそむいて定明についているのだ、もう、これ以上に彼の考えることはなかった。彼は何のために夜半の庭歩きをし、みにくく弟と揉み合ったかを考えると、眼は冴え心は妙にふるえて来た。何度も寝返りを打ち、何度も深い溜息をつき、からだをちぢめ、また伸ばそうとこころみたが、睡りはもう穏やかにはやって来なかった。それは幾時の後だか分らないが、彼がふと蔀のすきから庭先に眼をやった時、愕然として再び起き直って蔀のそばに寄って外を眺めた。
そとの池のまわりを殆ど眼を射るように、過ぎるに速い姿があった。人にちがいなく人も女身だったのだ、誰がこれをはぎ野だといい切る者がいようぞ、しかも、紛う方もないはぎ野だったのだ、経之は、あれほどの驚きを数刻の前に知った女が、執拗にしかも既うに何も彼も打っちゃって男にあいに行くために