Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
この盃は無礼講のお許しであった。巡り了って再びもとにかえると、そこで盃は納められて主君は座を外した。そういう習慣になっていた。それを合図にして献酬は入りみだれはじめる。たちまち酔がまわって来る。
しかしそのときの邦夷は起とうとしなかった。大儀げに脇息に凭れかかって、膝をくずしたむぞうさな姿勢になっていた。彼の前では見る見る座が崩れて行った。それをみんな見ているような――或いは視野には何ひとつはいっていないような、例の湿んだ眼をして正面に坐っていた。
おいおいと、広間のうちは、湧くような賑いであった。それぞれ一人の例外もなく個性を持った声が、酔を帯びて無数の高低強弱をぶちまけ、ぶっつけ合っている。すると、この広間の声々は海鳴りの音に似て来る。意味の取れなくなった音響でありながら、それは一脈の諧調をもっていた。さッと遠退いて行って、時をおいて間もなくどッとこちらに押し寄せた。
あわい灯りで座の外れの方はぼんやりしていた。立ったり坐ったりする人々の顔も見わけはつかなかった。そのものらもまた、こちら上座の方は目にとまらなかったにちがいない。入りみだれさざめき合った騒ぎであった。