Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate

Aozora Bunko

無礼講らしく憚りなく振舞っていた。先ず自分どもの仲間にこの愉快さをわかち、やがてそれでは満足しきれなくなって、よろよろと立ちあがるのであった。昵懇を重ねねばならぬと思った。片手に盃、他の手に徳利の頸をつかんでいた。袴のすそを踏んで斜めに傾きながらとッとと踏みとどまっていた。彼は座のまン中を、膳や盆の並んでいる間をたくみに避けて、次第に近よって来た。酔いのまわった身体の芯に、一筋だけ白く光って、胸の思いが通っていた。初めあたりのものは気にも止めなかった。彼はよろけながら、重役たちの前に来てしまったのである。もはや注意もとどかなかった。気がついたものが驚いた。彼はその男の後姿をはらはらして見つめていた。

その席を見定めておいたように、彼はまッ直ぐに進んで阿賀妻の前にどさッと坐った。持って来た盃を手酌であおって、すッと差しだした。骨太の手にしみが浮いて、酒を吸った血管がふくれ上った。老人の皮膚であった。篠崎彦助であった。

「ご家老――ひとつ」

「身どもですか」と阿賀妻はそれを受けた。

彼は驚かなかった。あわててもいなかった、――すべて覚悟の上なのだ。家中のものの誰れ彼れが彼を随意につかまえて、彼らの云い分を喋りちらし、あれこれと問い訊す。