Classici giapponesi con furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Leggi 硝子戸の中 (がらすどのうち) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.702 caratteri · 105 schermate
「じゃ全く気がつかずにいたのですね」
「まあそうです。それからこちらで気のついたのも一つありました。しかし私の心はどうしても、その相手に惹きつけられる事ができなかったのです」
私はそれが話の終りかと思った。二人の前には正月の膳が据えてあった。客は少しも酒を飲まないし、私もほとんど盃に手を触れなかったから、献酬というものは全くなかった。
「それだけで今日まで経過して来られたのですか」と私は吸物をすすりながら念のために訊いて見た。すると客は突然こんな話を私にして聞かせた。
「まだ使用人であった頃に、ある女と二年ばかり会っていた事があります。相手は無論素人ではないのでした。しかしその女はもういないのです。首を縊って死んでしまったのです。年は十九でした。十日ばかり会わないでいるうちに死んでしまったのです。その女にはね、旦那が二人あって、双方が意地ずくで、身受の金を競り上げにかかったのです。それに双方共老妓を味方にして、こっちへ来い、あっちへ行くなと義理責にもしたらしいのです。……」
「あなたはそれを救ってやる訳に行かなかったのですか」
「当時の私は丁稚の少し毛の生えたようなもので、とてもどうもできないのです」