Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

Leggi 硝子戸の中 (がらすどのうち) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.702 caratteri · 105 schermate

Aozora Bunko

初代は宿なしであったにかかわらず、ある意味からして、だいぶ有名になったが、それに引きかえて、二代目の生涯は、主人にさえ忘れられるくらい、短命だった。私は誰がそれをどこから貰って来たかよく知らない。しかし手の掌に載せれば載せられるような小さい恰好をして、彼がそこいら中這い廻っていた当時を、私はまだ記憶している。この可憐な動物は、ある朝家のものが床を揚げる時、誤って上から踏み殺してしまった。ぐうという声がしたので、蒲団の下に潜り込んでいる彼をすぐ引き出して、相当の手当をしたが、もう間に合わなかった。彼はそれから一日二日してついに死んでしまった。その後へ来たのがすなわち真黒な今の猫である。

私はこの黒猫を可愛がっても憎がってもいない。猫の方でも宅中のそのそ歩き廻るだけで、別に私の傍へ寄りつこうという好意を現わした事がない。

ある時彼は台所の戸棚へ這入って、鍋の中へ落ちた。その鍋の中には胡麻の油がいっぱいあったので、彼の身体はコスメチックでも塗りつけたように光り始めた。彼はその光る身体で私の原稿紙の上に寝たものだから、油がずっと下まで滲み通って私をずいぶんな目に逢わせた。