Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
尊氏の願い出た降伏は、吉野朝廷に容れられた。
三度目の請いだった。彼は直義のように武家政権を固執せず、天皇親政に服すべしと申し出ている。けだしそれが尊氏の本心とは、南朝方でも信じなかった。尊氏もまたこれは窮極の窮策にほかならなかった。こうした無恥な仮面でも仮面を持つほか今はあがきのつかない破目に彼はあったのだ。
一方。
そのごも直義との和談には、つねに心の揺れうごいていた尊氏でもある。
だが直義は、いよいよ、尊氏の足もとを見くびった。いかにとはいえ、いまさら親政を仰いで南朝の天子に降るなどは、頭がどうかしたものである。自分の立てた北朝の天子はどうするのか。第一当初から謳って来た武家統治の自己の理想は一体どこへしまい込むのか。
「血迷われたか。はや大御所も昔日の大御所ではない」
こう観る直義方の驕慢は日につのッて、仲に立って、なお和睦に望みをかけて奔命していた細川顕氏や畠山国清のはからいなども冷視しながら、徐々に、北陸の大軍を、何の目的か、東国方面へ移動させ始めていた。そして直義もまた敦賀を発して、信濃に入り、ひがしへ向ったとの風説が高い。
「ああ、もうだめだ。