Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
宗良親王軍も、ぞくぞく碓氷峠を南へくだっているという。
鎌倉にこそ入ったが、そして直義をも捉えはしたが、尊氏自身もまた、みずから掘った坑にひとしい重囲に墜ちていたのだった。
「義詮が危ぶまれる」
尊氏は、たまらない親心を、道誉に洩らした。
一面には直義との相剋を抱え、それみずからの凡情にみずからをズタズタに切りさいなまれている彼の容子が、道誉にもこの数日はあわれに見られていたほどだった。
「即刻、道誉が都へ駈け戻りましょう。すてておけば北畠親房の思うつぼにはまるだけのもの。猶予はなりますまい」
「それよ、そこを頼みたかったのだ。誰をやるよりそちならば心丈夫と」
「しかし、ここのお立場も容易ではないが」
「いや、ゆうべ一夜じゅう考えぬいて、思案はついた」
自信をしめすように尊氏は語尾をつよめた。伴っていた微笑は微笑にならない顔に歪みを作っただけだった。いつも気にならない尊氏のうすいあばたが、一ト粒一ト粒、こんなにも道誉の眼に哀しく見えたことはなかった。
「打開の御工夫がつきましたとな。いや、それ伺えば」
と、彼の一軍はその日にもう西へ立って行った。彼には、そのあとに起るであろうことが、どんなことか、ほぼわかっていた。