Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
けれど義詮としては、多少、事前にいぶかられる兆しもあったので、法勝寺の恵鎮を先に行宮へやって、朝意を伺わせるなどの、ていねいな手順をふんでいたのである。そしてつい前夜までも、男山から帰って来た恵鎮の報告に、安心しきっていたところだったのだ。
何をするひまもない。
あっというまに、加茂川原も市中の辻々も、どっと混み入ってきた南軍の兵馬に駈け荒らされていた。
迎え撃つのがやっとで、幕府の侍所預かり細川頼春さえ、身によろいを着けるひまもなかった。白袷と素袴のままで裸馬に騎り、足なみも揃わぬ将士の指揮にあたっていたが、たちまち、むらがる敵の中で斬り死にをとげてしまったほどである。そのほか諸所の狼狽の状にいたってはいうを俟つまい。
義詮は、細川顕氏や仁木義章にまもられて、やっと、京都のそとへ逃げ走り、やがて近江の四十九院(犬上郡)までたどりついたとき、はじめて、ほっと、おちつきを取りもどした。そこで佐々木道誉の、あの物に迫らない顔の黒子と微笑とを見たからだった。
「いや、京都などはいつでもまた奪り返せましょう。大御所にもこれはお分りになっていたことで、そのため、道誉に帰れと命ぜられて、とくに近江を固めていたものです。