Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
――機をつかんで、みちのくの兵二万は、一せいに後を向いた。
この戦いで、敵の土岐頼遠は負傷し、桃井直常は、さんざんになって、洲俣川を逃げ渡った。奏功は、充分だったのである。――よしっ! と見るや顕家たちは、方向を南へ変えて、一気に、北伊勢へ、転進をつづけた。――そして伊勢や伊賀の山中でも、行く先々では、足利方のさまたげに出会ったが、行くところ、それに剋った。
こうして、やっと、
「オオ、奈良が見える」
と、全軍の士は、伊賀路を南下がりに来つつ、諸声あげて、よろこびに踊りあった。
この日、辰市の辺で、足利勢との小ゼリ合いがあっただけで、顕家以下の長途の兵は、ここに奈良を占拠した。
当然、吉野朝廷のよろこびは大きく、顕家の不撓不屈な来援は、
「よくぞ、よくぞ」
と、高く歓呼されていた。
奈良とは目と鼻のさきの吉野である。けれど顕家は、ついに、吉野へは参内せず、みかどへお目にかかろうともしなかった。また、つい伊勢に居ると聞いている、父の北畠親房とも、もちろん、会ってはいなかった。
「ここで息は抜けぬ」
と、彼はすぐ次にそなえて、
「京都回復の大命を成しとげ、そして真の勝利をみるまでは」