Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.638 caratteri · 233 schermate
――師直も決してこのひとを、暗君とは思っていない。否、大いにおそれてさえいるのだが、それにせよ直義がこのひとを超えてあまりな権を持つのは好ましいことでなかった。しぜん自分の将来も共にうだつの上がらない予想がされてくるからだった。
しかし、尊氏の心境も、もう前のようではない。顕家の奈良占領の事実は、彼を大きく反省させた。
いまさらのように、吉野戦略の全国的な構想の大を知り、また、南朝方にはその持つ伝統と、後醍醐という不世出なきみの精神力とをめぐッて、顕家のごとき純で強烈な臣子が、なおまだ、少なくないなども、大いに覚ったようであった。
それにもよるか。
二月二十八日以降の、足利勢の奈良攻めには、たしかに、その指令は、尊氏から出たかとみられるふしがある。高ノ師直の軍旗が、この戦場にあらわれたなども、その一証といっていい。
奈良は、猛攻撃をうけた。
奈良坂、東大寺附近、法華寺界隈、手掻小路と、合戦は連日、熾烈をきわめた。――が、一方の顕家の麾下は、いかんせん、いわゆる“疲れ武者”で疲れぬいていた。
「無念だが」
と、顕家は四囲の情勢から今は奈良を放擲するしかないときめて。