Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ききがきしょう

聞書抄

谷崎 潤一郎

Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate

Aozora Bunko

拙著「春琴抄」の佐助は盲人になるために針を瞳孔に突き刺してよく目的を達したが、順慶は戦国の武士であるからもっと野蛮な荒療治を行った。即ち豫め病と称して宿に引き退り、小柄を以て眼球の組織を破壊した後、その傷痕の癒えるのを待って始めて出仕したと云う。が、彼を前から盲人であると信じ切っていた城中の人々は、誰もそのことに気が付かなかった。にせのめくらが俄かに本当のめくらになり、急に勘が悪くなったら、人の疑いを招きそうなものだけれども、幸いなことに城中に於いては、起つにも坐るにも常に手引きが教導をする慣例になっていたゝめに、大した失策を演ずることもなしに済んだ。斯くて順慶は、見たところでは従来と何の変化もなく、一箇の藪原勾当として自らも振舞い、人からも遇されていた訳であり、その限りに於いて彼の計畫は豫期の成果を収めたのであったが、一方彼は必然に起って来るであろう自己の心中の推移について、大きな誤算をしたのであった。と云うのは、視覚さえ失ったら精神的の煩悶が減って、ほっと重荷をおろした感じがするであろうと思っていたのが、反対の結果になった。彼が失明した目的の一つは、「夫人を見ないため」