Classici giapponesi con furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate
であったが、少くとも此の点に於いてアテが外れた。見まいと心がけたものが、前よりもよく見える。その上、一層悪いことには、それを肉眼で見ていた間は、「見る」と云うことに良心の制裁が伴っていたのに、心の眼を以て見るようになってからは、何等の拘束がないのである。肉眼で見るのでない以上、舊主へ不忠にもならなければ、夫人へ失礼にもならない。誰に対しても気がねがない。いつでも、自由に、その映像を飽きるほど視つめていられる。盲人の真似をしつゝ、薄眼でおず/\と盗み視ていた時よりも、遥かに大きく、生き/\と見えるのであった。斯かる間に関白秀次の乱行は、加速度的に狂暴性を増して行った。太閤記巻十七に云う、
(文禄四年)六月八日、秀次公比叡山へ女房共を被二召連一山上し給ふて、一晝夜の遊宴つねよりも悪行いやましにけり。晝はひねもす狩くらし、夜はよもすがらよこを引、鹿、猿、たぬき、きつね、鳥類、物数の程莫大なり、一山衆評して申けるは、当山は桓武天皇御草創なり、殺生禁断女人結界の山なれば、被二思召分一被下候へかしと、木村常陸介を以御理申候へば、我山にて、我慰候に、誰か禁じ候はんや、餘人とは替るべきよとの御返事也。