Classici giapponesi con furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate
者も近くにいる者も、一度に袖を濡らすのでした。すると姉はまた袂から一つの巻物を取り出して御前へ置きます。それを上人がお取り上げになって声高らかにお読みになります。その文句に耳を傾けていますと、それ人間のさかいを聞けば、閻浮の衆生は命不定なりとは申せども、成人するまで親に添う人の子多く候ものを、如何なる宿執の報いに依って、我等三歳の時父には生きての別れ、母には死しての別れとなりぬらん、今は早や頼む方なくなり果てゝ迷いの心は晴るゝ日もなく、思いの煙は胸を焦がし、悲しみの涙乾く間もなし、我が身のようなる人しあらば、憂いの道を語り慰むすべもあるべきに、まどろむ隙もなき程に夢にだにも逢い奉らず、身に添うものはあるかなきかのかげろうばかり、僅か三日を過したるだに思いは千年萬年を暮らすに似たり、ましてや行く末の悲しきことはいかばかりぞや、露の命、幾秋をか保つべきとも覚え候わず、かように孤児となり果てんよりは、たゞ願わくは、我等二人をあわれみ給い母諸共に一つ蓮のうてなに迎え給え、と、そう書いてある後に、こざかしくも年号や日附までも記して、奥に下のような歌が添えてある