Classici giapponesi con furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Leggi 聞書抄 (ききがきしょう) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.821 caratteri · 210 schermate
あたり迄来まして、姉が手箱の蓋を、上人の御前にさしおいて、三度礼をして、掌を合わせてうずくまりますのを、上人はしげ/\と御覧になって、そこにおいでの幼い人は何処のお方ですかとお尋ねになります。はい、これは楠の一門の、篠崎六郎左衛門の子供でございますが、父になります者は、わらわが三歳の時、楠殿と仲違いをしまして、世を遁れて、今に行くえが知れないのでございます、此の程はお母さま一人に添いながら、浮世を明かし暮らしておりましたのに、有為無常のならいの悲しさは、そのお母さまにさえ先立たれて、今日で最早や三日になります、お骨を拾う人もございませんものですから、弟と二人で拾いまして、此の箱の中に入れましたけれど、何処へお納めしてよいのやら分りませんから、上人にお願い申そうために此れまで持って参りました、どうぞいかなる所へでもお納めなされて、お母さまが早く浄土へ行かれますように回向をなされて下さいましたら、ひとえに御利益に存じます、と、そう述べる言葉を黙って聞いていらしって、暫く上人は物も仰せられずに、限りなく御落涙なされるので、聴聞の人までが、遠くにいる