Classici giapponesi con furigana
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あしはみていた
葦は見ていた
山本 周五郎
Leggi 葦は見ていた (あしはみていた) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.985 caratteri · 36 schermate
三
二人は坂をおりていった。
三
二人は辻町にある杉丸の家へいった。
東次郎は百二十石の納戸役で、家族は母親と、娶ってまのない妻と、深江という妹の三人であった。
「休暇を三日もらってあるんだ」と東次郎は云った、「今日は特別だから、ひとつ酒をつけてゆっくりしよう」
東次郎がみみうちをしたとみえ、みんなの態度はごく自然で、他人行儀なようすは少しもみせなかった。妻女とは初めて会うのだが、その妻も旧知のようにふるまった。
酒はなごやかに進んだ。
深江が給仕に坐った。彼女は二十歳になる、躯の小柄な、まる顔の健康そうな娘、笑うとかなり大きな八重歯が見える。それが恥ずかしいのだろう、笑うときには必ず、手の甲を返して口を掩った。
――ばかだね、隠すことはないじゃないか。
東次郎はたびたび云った。
――八重歯は愛嬌があっていいものだ、おまえの顔は八重歯の見えてちょうどいいくらいなんだぜ。
――だって大きすぎるのよ。
と深江は(口を掩いながら)云うのであった。
――わたくしのは八重歯ではなくって、鬼歯みたようなんですもの、恥ずかしいわ。
計之介と深江とは、五年まえに婚約していた。