Classici giapponesi con furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Leggi 蓼喰う虫 (たでくうむし) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.066 caratteri · 216 schermate
と、そう云って笑うのが常であった。それ故彼は、いざと云う時は大人に対すると同じように、すべての事情を子供に打ち明ける覚悟をしていた。父も母も、孰方が悪いと云うのではない、もしも悪いと云う者があれば、それは現代に通用しない古い道徳に囚われた見方だ、これからの子供はそんなことを耻じてはいけない、父と母とがどうなろうともお前は永久に二人の子だ、そうしていつでも好きな時に父の家へも母の家へも行くことが出来る、―――彼はそう云う風に話して子供の理性に訴えるつもりでいた。それを子供が聴き分けない筈はないと思った。子供だからと云っていい加減なうそをつくのは、大人を欺くのと同じ罪悪だと考えていた。ただ万一にも別れないで済む場合が想像せられるし、別れるとしてもまだその時機がきまったと云う訳ではないので、成るべくならば余計な心配をさせたくない、話はいつでも出来るのだからと、そう思い思いつい延び延びになっている結果は、やはり子供を安心させたさに惹き擦られて、喜ぶ顔が見たいために妻と馴れ合いで睦しい風を装うこともあるのである。しかし子供は子供の方で、二人が馴れ合いで芝居をしていることまでも感づいていて、なかなか気を許してはいないらしい。